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    「やっぱり半之丞の子だったですな。瓜うり二つと言っても好よかったですから。」

    小谷の店では実にあらゆる品を売つていたが、その中には僅かだが薬品類もあつた。したがつて、高間医院は小谷にとつて多少のお得意先でもあつた。今では、小谷は心易立てに注文のあつた薬品を「店主自から」ぶらさげて房一の所へ持つて行き、そのまゝ話しこむやうになつている。

    「うん」

    練吉は眠気から覚めたやうに、

    と、一向にそんなことを知らない房一が云つた。

    後で馬がいないと云ふので騒ぎだつた。

    房一は大きくうなづいて見せた。もう獲物は大分前からとまつていた。

    「なんですよ、あんまり貴方あなたの評判がいゝもんですから、さういふ方ならぜひ一度自宅うちでも診ていたゞきたいと思ひましてね」

    冬近い冴えた日ざしが午過ひるすぎの河原町の長い、だが人気のない通り一杯に溢れていた。一体みんな何をしているんだらう、まさか軒並みに夜逃げしたわけでもあるまいのに、と呟つぶやきたくなるほど人の子一人いなかつた。そして、冴えているがしだいに温ぬくもりの増して来る日は、何だかのうのうと、つまり誰もいないので日そのものが路一杯にひろがつて日向ひなたぼつこをしているみたいであつた。

    「よからう」

    が、練吉が駆け登つたのを見ると、先方の男は急に威丈高になつて怒鳴つた。

    「へえ。――ズブツとね」

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